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マンショングレード「普通vs高級」を「住戸へのアクセス」から考える

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

マンションのグレードには「普通」から「高級」までありますが、それを「住戸アクセス」から考えてみましょう(※この投稿内の写真で出典の表記のないものは「写真AC」より引用しています)

都内23区をはじめとして、マンションの高額化が続いています。

高額がそのまま高級か、という議論はさておき、「高級マンションと言えば、まずタワーマンションが思い浮かぶでしょう。以前このコラムでも、タワーマンションの内覧会を扱いました。

しかし、高級マンションは必ずしもタワマンとは限りません。実は最近、私たちも、きわめて希少性の高い、都心住宅地に建つ「超高級マンション内覧会同行も経験しましたから。

一方、マンションの値上がりが続いている中で、比較的「一般(普通)」的仕様のマンション内覧会同行のご依頼が大多数です。そして最近では、それらの多くも、イメージの良い演出デザイン)がされていると感じます。購入者が高揚した気分で内覧会を迎えられる、そんな演出でもあります。

さて、いきなり肩すかしかも知れませんが、今回は、この「普通」や「高級」マンションのグレード解説のようなものは行いません。そうではなくて、おそらく皆様があまり関心ないであろう、住戸に至るアクセス」の観点からマンションを考えます。

N研-中尾-
結論からお話ししてしまうと、共用部であるマンションのアクセス空間が、高級化するほど専有化、プライベート化に近づく。そうした傾向を見てゆきます。

 

マンションの高級感を支えるもの、その中であまり関心の向かわない「アクセス」装置

ヴィンテージ化するマンション

マンションの「高級」とは、その価値の高さと言えるでしょう。新築のマンション価格は、「土地代+建築費+販管費+事業者利益」の積み上げで決まります。つまり、その高額には根拠があるというわけです。一方、中古のマンションの高額には、これとは事情が異なる場合があります。

高級中古マンションをイメージさせる「ヴィンテージマンション」という言葉は、2000年代初め頃から使われるようになった和製英語で、明確な定義はありません。古くなっても価値の下がらない、人気の高い中古マンションといったような意味で使われます。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

ヴィンテージマンションの代表例とも言える「広尾ガーデンヒルズ」、写真:N研(2026.02撮影)

 

まずは何よりも「立地」。稀少性の高い、憧れの土地に建てられた、もともと高額だったマンション。しかし時を経て、建物自体は物理的に劣化しているのに、価値が下がらない、あるいはむしろ価値が上がる場合さえあるという意味での「高級」感。

もちろん、多くは、手厚い「維持管理」もあるでしょう。しかし、時が経過しても「高級」とされるマンションは、このように、新築とは異なる価値の高さがあり、それを維持し続けているのでしょう。

新築の高級マンション、関心のあまり向かわない「アクセス装置」

新築の場合も、マンションのグレードと言うと、やはりまずは立地でしょうけれど、住戸の広さのほか、内外装住宅設備に関心が向きますね。

さまざまなサイトで紹介されているように、高級(高額)マンションと言うと、豪華なエントランスロビーラウンジプールゲストルームなどの充実した様々な共用施設が紹介されますし、コンシェルジュサービスとか強固なセキュリティが思い浮かびます。そして、これまた高額な管理費も、ですね。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

マンションの中で、関心を持たれる共用部もありますが、あまり関心の向かわない共用部もありますね。(写真はイメージ)

 

このような、マンションのイメージの中で、とりわけ共用部分の中であまり関心を持たれないのが、各住戸へのアクセス方法ではないでしょうか。

住戸へのアクセス」とは、つまりマンションのエントランスから住戸に至るまでの経路ですが、利便性グレード感を担保しつつ、セキュリティの厳格化の要請に応える必要があります。

たとえば、エントランスのハンズフリータイプの電気錠は、最近のマンションでは、かなり一般化してきました。さらに、エントランスの顔認証セキュリティも、利便性と防犯性の向上に寄与しています。

エントランスロビーは、そのマンションのイメージを印象づける空間なので、販売側も力を入れるところですが、同時にセキュリティにも配慮されなければいけません。高級なマンションでは、車寄せにドアマンがいて、住人を送り迎えしていますが、同時に不審者を厳しくチェックして、エントランスロビーセキュリティを守っています。

エントランスのセキュリティを経て、コンシュルジュカウンターの横を通り、エレベーターホールの監視カメラや、時にはさらにオートロックを経て、エレベーターへ。そのエレベーターも行き先階制限機能で目的階以外には行けないようになっています。住戸に到達するまで、何重かのセキュリティに守られています。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

エントランスはマンションのイメージや「格」に影響しますね。たとえば、コンシェルジュ・カウンターなどはタワマンの必須アイテムですね。(写真はイメージ)

 

スマート化するエレベーター、専用化するエレベーターホール

セキュリティシステムの技術的進化は、エレベーターの行き先階制限機能運行最適化技術などの制御技術とも連動しています。

エレベーターは、高速化制御性能の向上とともに、両面出入り口タイプなども広く採用されるようになってきました。それを住棟構成の中で巧みに配置し、多様に制御することで、もとはたんに垂直の共用廊下(シャフト)」であったものが、次第に準専用化、あるいは実質専用化に近づいたエレベーターまであります。

こうした傾向については、次章以下で見てゆきましょう。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

マンションのエレベーター:その運行制御技術の向上が、アクセスのプライベート化に役立っています。(写真はイメージ)

 

一方、マンションの廊下部分も、もともとはいわゆる「共用廊下」で、その一部がエレベーターホールであったわけですが、やがて廊下部分も含めて、準専用エレベーターホール、さらには専用エレベーターホール化しつつあるマンションも登場しました。そこでは、センサー技術キーシステムなどとも関連した運行制御が行われ、厳重なセキュリティを確保しています。

共用的であったアクセスが、次第にプライベート化しつつあり、いわばアクセスの装置化とでも言えるかもしれません。

マンションの裏方、サービス動線について

センサーと言えば、宅配ボックスセンサー連携などが一般化しつつありますが、後でご紹介するように、各階に各住宅専用の個別宅配ボックスが設けられた例も見られます。

このように、以前エントランス階地階に集約されていたものでも、各階に置かれると、より便利になるものがあります。その代表的なものとして、各階ゴミ置場があり、今やタワマンだけに限らず、多くのマンションに広まりつつあります。

各階に集められたゴミは、全体のゴミ置場(ステーション)に収集する必要があり、一般の乗用エレベーターを利用せざるを得ない例も多いですが、タワマンでは法的に非常用エレベーターが必要なので、その前室近くに各階ゴミ置場が設けられ、裏方サービス動線によって全体ゴミ置場のある階まで降ろされます。

非常用エレベーターの設置が法的に不要のマンションでも、その規模やグレードによっては、専用のサービス用エレベーターを設けて、サービス動線と一般の動線とを分ける例もあります。

このサービス用エレベーターとその前室、そこに設けられる各階ゴミ置場などは、言ってみれば垂直方向につながるサービス動線ですが、各階の避難経路を兼ねた専用のバック動線、つまり水平方向のサービス動線をほとんど独立させた例も登場しています。

新・旧の「高級」の差、セキュリティ、サービス動線、アクセス装置

そして実はこのような、アクセスにおける技術的進化や、サービス動線への配慮、そして、それらを組み込んだ住棟の平面構成などは、かつての高級マンション、いわゆるヴィンテージマンションとの違いと言えるかも知れません。

ここでは、「立地」という判断は含まず、あくまで「建築」そのもの、特に、利便性セキュリティに支えられた高級感の比較です。ヴィンテージマンションに漂う重厚な高級感と、次々と生み出される進化したマンション高級感の違いです。

新しいマンションは、セキュリティやいわばアクセス装置において常に先を行き、それがその価値の高さの一端となっているのではないでしょうか。

 

N研-中尾-
前置きが長くなってしまいましたが、次から具体例に進みましょう。

 

マンションの「普通VS高級」グレードと「住戸へのアクセス」

マンションの共用部分の中で、あまり関心を持たれない、各住戸へのアクセス方法。

マンションのエントランスロビー(あるいは地下駐車場)から住戸までの動線(アクセス)。垂直方向はエレベーター水平方向はエレベーターホールを経て共用廊下、ですね。垂直方向には階段室があり、各階平面図では、共用廊下とセットなのですが、これは緊急時以外意識されませんね。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

高級マンションは必ずしもタワーマンションとは限りません。都内高級マンションの例。写真:N研(2025.10撮影)

 

アクセスの高級感、それはセキュリティとも関わりますが、アクセスのいわばプライベート化専用化の程度と言えるのではないでしょうか。さらには、そうしたアクセスの動線から、裏方つまりサービス動線分離されている程度がそれに加わるでしょう。

ここでは、その程度を順に見てゆきたいと思います。

アクセス高級化の第一歩 ~ 共用廊下の「内廊下」化

まず、普通のマンションに多くあるのは、「玄関ホール→共用の外廊下→エレベーター→外廊下→住戸」というアクセスですね。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

一般的な片廊下(左2枚)、中庭を囲む外廊下(右2枚)写真:N研(2024、2025撮影)

 

この外廊下を「内廊下中廊下)」と比較すると、そのグレード感は、内廊下のほうが一般的にはひとつ上がります。

もっとも、タワーマンションでも中央吹き抜け(ヴォイド)タイプでは、その吹抜けに面して片廊下となっているものもあります。

また、外廊下タイプでも、もちろん高級感のあるマンションもありますし、維持管理を怠れば内廊下でもイメージは劣化してしまいます。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

中央吹き抜けタイプの高層マンション外廊下(左、撮影:N研)、中央吹き抜けを見上げる(中)、高級感のある外廊下タイプマンション(右)

 

さて、外廊下が内廊下となると、そこは屋内ですので、屋内の仕上げとなり、換気設備、さらに冷暖房設備が必要になります。両側に住戸が並ぶ中廊下では、採光窓が設けられなければ、ちょうどホテルのように、日中でも照明が必要になります。

内廊下ではは、一般階ではカーペット(タイルカーペット)が多いでしょう、さらに特別階となるとなどが使われるかも知れません。外廊下の長尺シートなどに比べるとおそらくメンテナンスの度合いも上がるのではないでしょうか。

グレードが上がると、維持管理のコストも上がりそうですね。

内廊下の場合、住戸内はその廊下側に居室を配することができないので、外廊下マンションとは住戸平面が異なります。また、内廊下の両側に住戸を配すると、日照の点で不利になる住戸は増えます。

外廊下では、廊下に面してエアコンの室外機が置かれ、ドレンレールが廊下を横断したりしますが、内廊下ではそれはありません。内廊下には、住戸の窓が面することもなく、そうした各戸の日常生活を垣間見せることがなくなり、いつも整然とした床や壁の廊下を通って我が家に到着するスタイルになります。

ではここで、「内廊下」タイプのマンションの例をふたつ取り上げましょう。

【図1.】は、比較的住戸数が多く、長い共用廊下の両側に住戸があり、階段が二箇所に分散している例です。

平面図(ここでは平面模式図)で見ると、普通の外廊下タイプとあまり変わらないように思えるかも知れませんが、床のタイルカーペット壁の化粧シート、やや照度を落とした間接照明などによって外廊下の場合とかなりイメージが異なり、各住戸前にアルコーブが設けられていることも加わって、高級感が演出されています。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

【図1.】 内廊下タイプのマンション例:多住戸、ELV2台で長い共用廊下、階段2箇所(左)、住戸数が少なくELV1台、X階段を採用したコンパクトな内廊下(右)(※以下、作図はすべてN研)

 

これに対して図のは、階あたりの住戸数が限られていて、内廊下を住戸が取り囲んだような例です。

この例は、階段を「X階段」とすることも含めて、共用部の面積をコンパクトに抑えていますが、MB(メーター・ボックス)やPSを利用して、各戸にアルコーブを設けたり、廊下壁にわずかながら引きを設けたりして、単調な空間にならないような工夫も見られます。

マンションでは、普段の上下動はエレベーターによるため、ほとんど意識されないのですが、片廊下、内廊下問わず、小規模マンションを除き、2カ所以上の避難階段を設ける必要があります。

この2カ所の避難階段は、図の左のように、本来離れて設けるのが望ましいのですが、最近ではバルコニー経由の避難と組み合わせて、右図のような「X階段(ダブル階段)」とする例も多くなってきました。X階段は、1カ所の階段スペースに2本分の階段が納まるので、面積上もメリットがあります。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

内廊下のイメージ:共用廊下が屋内化すると、内装、照明などの効果で高級感が増しますね。

 

おことわり

今回は、説明のためにそれぞれ簡単な平面図(平面模式図)を載せてありますが、参考にした物件が特定されないよう、いずれも変形・加工して模式化してありますので、すべて実際のものとは異なります

 

住戸アクセスの高級感に寄与するもの ~ エレベーターの進化と配置

アクセスの高級化に寄与するエレベーター、そして各階ゴミ置場の利便性

はじめの章で、エレベーターの行き先制限機能ほか運行制御技術の進化について触れました。

キーを持っていないとエレベーターに乗れず、また、自分の住戸のある階しか停止しないといった機能です。

一方、来訪者については、インターホンでエントランスのドアを解錠してもらうとエレベーターとも連動するようになっている例もあります。ただし、解錠してもらってマンションに入れたとしても、一定時間以内にエレベーターに乗らないと、エレベーターが開扉しなくなる(またエントランスに戻ってやり直し)というように防犯機能を高めた例もあります。

エレベーターの出入口については、両面出入口エレベーターが採用されている例も見かけます。

このタイプは、次の例【図2.】のように、マンションの構成上、エントランス階でのエレベーターへの出入口の方向と住居階での出入口の方向を反対にする場合に使えます。

この例では、まず1階エントランスからの動線クランク(曲がり)を設けて、エントランスホールの後方に誘導してからエレベーターに乗せるようにしています。そして、住戸階では内廊下側で乗降するようになっています。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

【図2.】 両面出入口エレベーターの採用例:エントランス階(左)と住戸階(右)の出入口、各階ゴミ置場と1階集積場への搬送動線

 

一方、このマンションでは、各階のエレベーターホール脇に各階ゴミ置場が設けられていて、その各階のゴミはこのエレベーターで1階に下ろされ、1階のサービス廊下を経由してゴミ集積場に運ばれるようになっています。エレベーターは乗用2台のみで、ゴミの移動はこのエレベーターの一方を使うことになりますが、片側を短時間だけ専用運転に切り替えることもできるでしょう。さらに、各階廊下やエントランスホール内での移動距離を短くして、できるだけ一般の目に付きにくいように考えられています。

両面出入口エレベーターによる「専用化」、非常用エレベーターの乗用兼用など

両面出入口エレベーターについては、次の【図3.】のように、行き先制御によって、ある階のどちらの出入口を開扉するか指示するようにできます。たとえば、図で住戸①の住人であれば、①の側の扉が開くようになります。あるいは、②あるいは③の住人であれば、反対側の扉が開きます。

この例は、エレベーター1基あたり3住戸、これは後述する「3戸1型」の構成になりますが、住戸①のエレベーターホールは、②、③の共用廊下につながってはいますが、図のように区切られています。つまり、この例では、両面出入口エレベーター出入口の開閉を制御して、住戸①については「専用エレベーターホール」化させることができています。

このように、両面出入口エレベーターは、後の例でも出てきますが、制御機能によってエレベーターホール専用化することができます。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

【図3.】 両面出入口エレベーターによる「専用化」(左)、非常用エレベーターの乗用兼用(右)

 

【図3.】の図は、規模的に設置が義務づけられる非常用エレベーターを、乗用エレベーターとしても利用できるように、隣の一般乗用エレベーターと並べた例です。そのため、独立した専用の付室が必要になりますが、それもエレベーターホールとして利用しています。

また、図に見られるように、このマンションには各階ゴミ置場が設けられています。ゴミ収集の台車がある程度大きめでも、サイズの大きい非常用エレベーターの側で1階に運ぶことができます。

 

共用廊下の「専用ホール」化 ~「2戸1型」の系譜、そしてさらに「2戸2型」へ

「階段室型」住戸から「2戸1型」「3戸1型」へ

すでに【図3.】で、「3戸1型」の構成に触れましたが、改めてここでまとめます。

各階で住戸が利用するエレベーターが、2住戸に専用一基、あるいは3住戸に専用一基という例があります。この「2戸1エレベーター」あるいは「3戸1エレベーター」は、各階のエレベーターホールから住戸までの距離を短縮し、共用廊下というより、プライベート性の高いエレベーターホールということができて、そこからそれぞれの住戸にアクセスできます。

歴史をさかのぼってみると、かつての公営住宅の標準設計には、ひとつの階段の両側に住戸がある「階段室型」と呼ばれる共同住宅の形式がありました。この階段部分にエレベーターが設けられたのが、ここでの「2戸1型」が始まりでした。

公営51C型階段室型住戸:1951年に提案された公営住宅の標準設計。「食寝分離」(食事と就寝の場所を別にする)と「就寝分離」(親と子や男女の就寝空間を分ける)の考え方にもとづいた、「2DK」の原型。51C型は最も小さい12坪(約35平方メートル)のタイプ。 

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

【図4.】 「2戸1型」の原型「公営51C型階段室型住戸」(左)、エレベーターに付いた「2戸1型」「3戸1型」(右)

 

2戸1型」は、住戸に2面バルコニーを設けることができるというメリットがあります。

高層化した2戸1型」は2住戸に対して、エレベーター屋外避難階段が取り付く形から始まりましたが、階段を特別避難階段として、屋内階段とする方向にも進みました。

特別避難階段は、階段前室付室)が必要で、火災時の排煙設備が求められます。この前室がエレベーターホールとなるわけですが、このホールは終日の照明も必要ですので、エレベーターの維持管理費用も含めて、管理費は上がります。

ちょうど、最初に見た、屋外廊下の内廊下の場合と同様ですね。

ところで、都内のヴィンテージマンションの中には、こうした2戸1エレベータータイプの住棟構成を持つマンションも見られます。たとえば、一般階は「2戸1」、最上階は場合によっては1住戸のみとなり、ここでは本当の専用エレベーターホールとなっていたりします。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

【図5.】 高級化した「2戸1型」(右)と「PP分離」のゾーニング(左)

 

このタイプは、住戸の玄関が長手の住戸横の中央付近になり(センター・イン)、さらに2面バルコニーが可能なので、平面計画的には「PP分離」の住戸構成が容易とされています。

PP分離とは、パブリック(LDKや客間など)と、プライベート(寝室や浴室、洗面所など)を廊下などで区切って配置(ゾーニング)した間取りのこと。マンションでは、玄関から片側にパブリック空間を配し、反対側に家族のプライベート空間を配するプランなどを言う。 

2戸1エレベーターで、内廊下」は、マンションのアクセス面での高級化のはじまりだったと言えるかも知れません。

ところで、この1基のエレベーターを平面上2住戸で使う場合、そのマンションがある程度高層化すると、たとえエレベーターの高速化が進んでも「待ち時間」の問題は避けられませんね。

そこで究極の「1住戸に1基」つまり「1戸1」とする高級化が考えられるかもしれませんが、たとえ「1戸1」としたところで、高層化した各階の「待ち時間」の問題はかなり残るでしょう。そこで、と言うわけなのか分りませんが、「1戸1」ではなく「2戸2」、「2住戸に対して2基の両面出入口エレベーター」が、高級マンションで登場しました。

こうして、両面の出入口の開扉を制御することによって、住戸前を専用エレベーターホール化することができ、実質的には、1戸あたり2基のエレベーターを選択できるので、「待ち」の問題もある程度解消されると言えるのではないでしょうか。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

【図6.】 両面出入口ELVによるELVホールの「専用」化、(左)はすでに図3.左で見たように「3戸1」のうち1戸を専用ホールとした例、(中)と(右)は「2戸2」型として、ふたつの住戸両方を専用エレベーターホールとして、「待ち時間」の問題もある程度対応した例

 

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このように、かつての時代の階段室型祖型として、エレベーターによって高層化対応し、「2戸1型」の屋内化高級化し、さらに「2戸2型」というさらなるアクセスの高級化、専用化、という流れがあるように感じます。
住戸アクセスからマンションのグレードを考える

高速化、運行制御、「2戸2」配置など、進化したエレベーターによって、住戸アクセスをプライベート化させ、高級化させるという流れ、でした。

 

各階ゴミ回収の問題とサービス動線  ~  サービス用エレベーター

各階ゴミ置き場とサービス用エレベーター

ところで、ヴィンテージマンションにも見られる「2戸1エレベーター」などの場合、それぞれの住戸で出るゴミは、どのように回収されてきたのでしょうか。

おそらく、各住戸からこの乗用エレベーターを使って、1階のゴミ置き場まで持って行くことになるでしょう。

もっとも、最近の高級マンションに見られるような、コンシュルジュサービスバトラーサービスの業務として、回収あるいは回収支援を行ったことも考えられなくはありませんけれど、どうでしょう。

最近のマンションのように、キッチンにディスポーザーが付いている場合は、生ゴミの多くは処理できますが、古い2戸1型のマンションで、ディスポーザーの後付けが困難な住戸では、回収サービスがなければ、生ゴミも持って行くことになるでしょう。

タワーマンションの「各階ゴミ置場+サービス用エレベ-ター」

一方、タワーマンションでは、乗用エレベーターの他に、非常用エレベーターが法的に求められるので、これを常時はサービス用エレベーターとして使用し、その各階のエレベーターホール付近に「各階ゴミ置き場」が設けられるのが一般的、というより必須条件です。

【図7.】は、ボイドタイプ(中央吹抜け)タワーマンションのコア部分(エレベーターシャフト等)を模式図にしたものです。

乗用エレベーターのバンクが、図の高層用低層用、さらに非常用エレベーターが2基あります。図のは、高層用中層用低層用の3バンクで、こちらも非常用エレベーターは2基です。

タワーマンションでは、このように非常用エレベーターが設けられるので、裏方であるサービス用の上下移動を乗用エレベーターとは別に行うことができます。また、どちらの例でも、非常用エレベーターのホール(付室)に面して各階ゴミ置場が設けられています。

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【図7.】タワーマンションの乗用エレベーター、サービスエレベーターと各階ゴミ置き場:乗用エレベーターが高層用と低層用の例(左)、高層用、中層用、低層用の3バンクの例(右)

 

次の【図8.】は、上の2例より平面規模が小さい板状のタワーマンションの例です。規模的に非常用エレベーターは1基のみですが、乗用エレベーターは高層用低層用に分かれます。

また、非常用エレベーターに通じる通路に面して各階ゴミ置場が設けられています。

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【図8.】 板状タワーマンションの非常用エレベーターと各階ゴミ置き場

 

タワー以外のマンションでの、各階ゴミ置場+エレベ-ター

タワーマンションのようなサービス用エレベーター(非常用エレベーター)を設けない場合でも、乗用エレベーターの近くに各階ゴミ置き場を設けるケースも増えてきました。

前出の【図2.】は、そうした一例です。

この例では、各階ゴミ置場前室を設け、さらにバルコニーに面するように配置するなど、ゴミの臭いが内廊下側に流れないよう配慮していることがうかがえます。

また、次の図9.は、専用サービス用エレベーターを設けた例です。

この例も高級マンションですが、「サービス用エレベーター+各階ゴミ置き場」からなるサービスゾーン後方部門)を明確にしています。

一方、最近の高級マンションの事例で、「2戸1エレベーター」や「3戸1エレベーター」を採用しながら、同時に「サービス用エレベーター+各階ゴミ置き場」を設けたものもあります。

【図9.】の例は「2戸1」「3戸1」のそれぞれのエレベーターホールがさらに共用廊下と連絡していて、その共用廊下の先に、各階ゴミ置き場があり、サービス用エレベーターでそれを回収するという構成になっています。

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【図9.】 (左)サービスゾーン(サービス用エレベーター+各階ゴミ置き場)が明確な住戸階の例、(右)乗用エレベーターに対して「3戸1型」、「2戸1型」、さらにサービスゾーン(サービス用エレベーター+各階ゴミ置き場)のある住戸階の例

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

マンション各階のゴミの回収問題から見た、裏方(サービス)動線について、でした。

 

「共用」から「専用」化、プライベート化へ ~ 宅配ボックスの専用化、ゴミ置き場の専用化

宅配ボックスの専用化

このようにゴミ置場については、マンションの高層化にともない各階ゴミ置場を設けることが、ほぼ必須になりつつあります。では次に、冒頭でも少し触れましたが、ここで宅配ボックスの専用化についても見ておきましょう。

新築マンションでは、たとえばこのの写真や【図10.】のように、エントランス付近にメールコーナーがあり、集合郵便受けと並んで集合タイプの宅配ボックスが設けられるのが普通になってきました。

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マンションの集合タイプの宅配ボックス(左)は荷物が届いたことを知らせてくれるなど便利になりましたが、エントランス階まで荷物を取りに行く煩わしさはありますね。(写真はイメージ)

 

最近では、センサー連携して、宅配の荷物が届いたことを知らせてくれるようになり便利になりましたが、届いた荷物をエントランス階まで取りに行く必要がありました。

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【図10.】 宅配ボックスの専用化:マンションのエントランス階に設けられた集合タイプの宅配ボックス(左)、各階に各住宅用に設けられた個別宅配ボックス(中)、各住宅に設けられたバトラーボックス(右)

 

そこで、【図10.】のように、宅配ボックス各戸専用にして、各階に設置した個別宅配ボックスも見られるようになりました。宅配便が自分の住居手前まで届き、物件によっては、クリーニングの回収や配達も加えられるものもあり、利便性が高まりました。

これをさらに進めると、【図10.】のように、各住戸に専用のバトラーボックスが置かれ、そこにバトラー(コンシェルジュ)が届けてくれると言った高級なものまであります。この図のような「2戸2型」エレベーターホールは、【図3.】でも見たように、両面出入りエレベーターの扉がその住戸のオーナーだけに開くように制御されているので、完全にその住戸専用のエレベーターホールとなっています。

そして、このエレベーターホールには、住戸専用のバトラーボックスのほかに、住戸専用のゴミ置場も設けられています。

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住戸前アクセスのプライベート化がここまで進んでいるわけですね。その分、管理費はより高額になるのでしょうけれど。
住戸アクセスからマンションのグレードを考える

住戸専用のエレベーターホールに、その住戸専用のバトラーボックスや専用のゴミ置き場・・・住戸前アクセスのプライベート化ですね。

 

さらに「高級なアクセス」へ ~ 専用エレベーターホールとサービス動線の完全分離

「2戸2型」+「専用サービス動線」により、アクセスのさらなる高級化

先ほど【図6.】【図7.】で見た、タワーマンションのエレベーターは、高層階、中層階、低層階などそれぞれのグループに分けて専用に運行させる「バンク方式」が多く採用されています。これは、高層のオフィスビルでも採用されていますね。

この方式は、待ち時間を短縮させて混雑緩和に役立ちますし、利用者を限定するので、セキュリティの強化にもつながります。さらに、居住者は専用のキーをかざすことで、認証された階だけに停止するので、不審者の侵入を阻止できます。

しかし、利用者が限定されるとは言っても、バンクごとにいわば一時的な乗り合い」の状態もあるわけで、タワーマンションでも、一般的にはここまででしょう。

ところが、さらに高級なタワーマンションでは、タワーでありながらエレベーターが専用化されているようです。先ほどの「2戸2型」をさらに専用化させるイメージですが、おそらく、「スカイロビー方式」を採用して、シャトルエレベーターで乗り換え階であるスカイロビーに運ばれ、そこから専用エレベーターに乗ることになります。

これとは別に、非常用エレベーター各階停止とすることが求められるので、こちらがサービス用エレベーターとして使われるのでしょう。さらに特別避難階段に誘導するための避難用の共用廊下が必要で、ここが常時はサービス動線となるのでしょう。

【図11.】は、そうした住戸階の模式図です。2つの住戸に対して、両面出入口エレベーターが2基。ロビー階でエレベーターを呼び、自分の住戸のある階まで高速・非停止で到達し、ちょうど【図3.】の例のように、住戸側のみが開扉します。それ以外の人には扉は開かないので、このエレベーターホールは専用になります。また、ロビーから住戸階まで原則当人(と家族等関係者)のみしか搭乗できないので、専用同等のエレベーターということになるのでしょう。そして、ロビーでの待ち時間を短縮するために、2住戸に対して2基という組み合わせが選択されたものと推測します。

住戸アクセスからマンションのグレードを考える

【図11.】 両面出入口エレベーター利用の専用エレベーターホール化と、避難経路を利用したサービス動線の完全分離

 

一方、緊急時の避難経路が確保されていて、この通路が常時はサービス用通路となります。各住戸に設けられるバトラーボックス(個別宅配ボックス)へはこの通路を通ってサービスされるのでしょう。

以上には推測の部分もありますが、これまで共用的であったものが、次第に専用化プライベート化)するという方向性は、マンションの高級化への方向性に重なるものと言えるのではないでしょうか。

マンションの高級化と「アクセスのプライベート性向上、サービス動線分離・独立」

さらに言えば、超の付く高級マンションでは、特別階に特別住戸を設けて、地下駐車場に専用ガレージを持ち、専用エントランスから専用ホールに入り、他階非停止の専用エレベーターで住戸に到達するというような、いわば別格の特殊解というのもあるようです。

そうした特殊解は別としても、マンションの高級化の過程では、もともとの共用廊下と乗用エレベーターといった組み合わせが、アクセスのいわば装置化の過程を経て、専用化プライベート化し、さらに、サービス動線の分離・独立という方向になるのではないかというのが、ここでのお話しの流れでした。

マンションは高級になるほど、住戸はもちろん、共用部贅を極めた内装となり、同時に共用部の面積割合が大きくなります。それは今回の最初に触れたような、豪華なエントランスロビーラウンジプールゲストルームをはじめとした贅沢な共用施設が占める面積です。

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と同時に、ここで見たようなアクセス部分後方(サービス)部分の面積割合も増えることでしょう。

 

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